裁判傍聴記・第3回審理

例の「坊主さん事件」の第3回審理が今日ありました。

今回は坊主さんを診断した病院のお医者さん2人の証人尋問を行なうのです。

被告が登場。前回同様、坊主さんがいたら「別人みたいに顔色と肉付きがいいなあ」とぼやくぐらい、年齢より若々しく見える。散髪をしていないせいか髪が伸びているように思う。

まず1人目。7月4日(日)、事件直後に坊主さんは病院に行ったのだが、その日当直勤務をしていて診察をした、専門は産婦人科の先生である。

産婦人科の専門医と言っても、当然医学的な知識は備えているし、外科的な治療も当直医の経験の中で行なってきた(約6年間の当直勤務の経験があるとのこと)。緊急性がある場合は専門医に連絡はするが、緊急性がない、あるいは病名等が判然としない場合は後日再診してもらうようにしている、との証言。坊主さんが実際に怪我をしているのはきちんと確認している」

「傷については、まず手の擦過傷については「何かで引っかかれたような傷」(堅い物でこすられた)で、地面でこすった傷ではない。地面でこすったら傷は線状にはならず、広がるはずである」

「右肘については、同じ擦過傷でもこちらは地面についたもので間違いはない」

「右胸部の「打撲」については、坊主さんが強い痛みを訴えていたのでそう診断した。一般的に強い痛みを生じていれば「打撲」と診断される。外見上は外傷がなく、またレントゲン撮影でも骨折は認められなかった。その時点ではシップを貼布し、翌日に専門医の外来を受診するように言った。坊主さんが痛みを訴えている以上、自分では判断できない専門外のことでもあるからだ」

「怪我はこれ以外にもあり、首から肋骨にかけての皮下出血、左肘の擦過傷、右親指付け根の痛みがあった。皮下出血については、坊主さんが「首を締められた」と言う証言をしたとのだが、医学的に矛盾はない。襟元を掴んだだけでは出来ない。渾身の力をこめて出来たものであると思う」

次に、翌7月5日(月)に坊主さんを診察した整形外科の先生の証言。

「とりあえず上半身全体の診断を行なった。胸部痛の訴えは依然としてあり、また右手親指付け根の痛みもあった。擦過傷についても同様。また、手背(手の甲)に皮下出血と腫脹が両手に見られた。これは道具的なものがぶつかって起こったものと思われる。皮下出血と腫脹は7月4日の時点よりも明瞭に見られている。これらは通常1〜2日経ってから明瞭になってくるものが多い」

「両肘の関節部の傷については手背の傷とは全く異質のものである」

「ろく軟骨骨折については、もう一度レントゲン撮影を行なったが異常はなかった。が、ろく軟骨の部位はレントゲンには写らない。この部位を骨折すると、セキをしたり深呼吸をしたりすると激しい痛みを生じる。打撲ではこれほどの痛みを生じることはない。ろく軟骨骨折を疑い、触診をして骨折していると判断した。ろく軟骨骨折は外部からの圧力により生ずるものである。約3週間ほどで回復する(日常生活に支障は無くなる、という意味。実際は坊主さんの痛みは1ヶ月以上続いたのですけどね)と判断し、診断書に記載した。」

「右親指付け根の打撲と皮下出血については、坊主さんの「シノが当ったのでは」という証言と矛盾はしない。が、地面にぶつかった時(坊主さんが被告を投げ飛ばした時)に出来た可能性も否定はできない」

「首前面、右胸部、首後方の皮下出血については、襟元を強く絞め上げられて引きずられたような感じ。最低でも2回は絞められている感じである。胸に出来た斜めの傷は、絞めあげられ(絞り上げた)た上に、左右に揺さぶられたものでは。軽く掴んだだけではこのような傷にはならない。窒息寸前になったとおっしゃったが、それぐらいの力が働いたと思う」

このあと、実際にどういう風に絞り上げたのか、検事さんがTシャツ一枚になって先生に首を絞めてもらって、その風景を写真で撮ってもらっていた。そこまでやるのかw

「坊主さんが被告を投げた時に手背を上にしたと言っているが、当ったのが人体かと言えば否定は出来ない。少なくとも地面の可能性は低い。地面ならもっと大きな傷になっていた可能性がある」

これで終了である。

整理すると
①手の擦過傷は道具によるもの=犯人と格闘の際に凶器が当ったもの
②肘の擦過傷は手の擦過傷とは性質は異なる
③首を絞められたのは医学的に見ても間違いなく、しかも相当な力で絞めあげられた

と、言う感じになる。

これで証人尋問は全て終了し、次回はいよいよ、というかやっと被告人尋問に入る。まともに喋れるんだろうか。空転しそうだが・・・・

次回期日は、年が明けて2005年1月25日(火)午後1時30分と決定した。

まさか年を越してしまうとは思わなかった・・・・